曳き屋さんが土蔵を動かしてから、数ヶ月がたち、夏も終わりました。
その間に、土蔵があった場所は盛り土され、土留めがされ、1mほど高くなって、無事お隣さんのお庭になりました。
さわやかな秋の空が広がったある朝、いよいよ土蔵の壁を直す左官屋さんがやってきました。
土蔵の壁は、曳き屋さんが壁を崩して角材を固定していたため、完全に穴が開いていたのです。それをどうやって直すというのでしょうか??
僕はなぜかこの土壁の補修に興味がありました。なぜなら、これこそ何だか日本の昔ながらの家作りの縮図のような感じがするからです。何だか分かりませんが(笑)。
そして実は、土壁屋さんが来るのが楽しみだった理由はもうひとつ。
それは、我が家の北側の土壁がボロボロなので、それを直す知恵を拝借したい、との考えからでした。我が家の壁についてはまあ、後ほどゆっくりと話すとして…それでも、一応お隣さんのお耳に入れておいたところ、土壁屋さんに。口は利いておいてくれるとのことでした。 楽しみ♪
さて、始まりました!
まずは、木舞(こまい)というのだと思いますが、要は壁の芯になるように、竹や細い木の枝を藁縄で結んで固定していきます。今回は、ケヤキの枝と竹を使うそうです。ちょっとサクラの枝のように見えたので、サクラなのか聞いて見たところ、サクラは硬いようでいて意外ともろいんだ、ということでした。ふ〜ん、なるほど…
見ると、壁屋さんが持参した藁縄ではなくてそのお隣さんのおじいちゃんが自分で「なった(綯う)」という、手づくりの縄です。
同じ藁縄でも、見比べると機械づくりのものか、手づくりのものかはすぐ分かります。そして、壁屋さんによれば、この手づくりのものの方がずっと良いそうです。理由は…ちゃんと聞いてなかったんですが、たぶん、編み目が多少ムラがあるので、均一でなくて土の絡みがいい、ということだったと思います。
「いや〜、じいちゃん、これがいいんだよ。」「もっと要るようだったらまだあるから」「あいよ」
良く見ると、木舞の縦の棒が、時々ちゃんと下の土台にあけられた穴に、刺さっています。大体30cmおきです。
誰でも出来そうで、誰にもは出来ない…(笑)
やはり、職人のなせる業、ということなのでしょうか??
そして、うちの壁の件は、どうなるのか??
次回に乞うご期待^^