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【原子力事故】メルトダウンって、どのくらい危険??
第2弾は電話でリクエストがありました「メルトダウン」です。
「メルトダウン(炉心融解)」が起こると大変なことになるの???
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(初めて読まれる方は、この前のトピック、
「今、逃げるべき???」【原子力事故】とあなたの身体
から、読んでくださいね。)
「メルトダウン(炉心融解)」が起こると大変なことになるの???
という質問がありますが、
答えは、「YES」でもあり「NO」でもあります。
「は?何言ってるの・・・???」って思いますよね。^^;
「メルトダウン」ってひと言で言っても、どの状態かによって全然違います。
一番最悪の「メルトダウン」は、燃料がドロドロに溶けて、
原子炉のお釜(=専門用語では「原子炉圧力容器」といいます。)
を突き破ってお釜の外に出てきてしまうことです。
もしこうなったら、「今すぐ逃げろ!!!」レベルです。
でも・・・
今回のように「燃料棒の一部が溶けた」状態では、
「逃げるにはまだ早い」と言えます。
「それって・・・何が違うの??」
そう思いますよね。
実は、原子力発電所は、放射能を外に出さないよう、
「5重の壁」で守っています。
5重の壁とは・・・
イメージしやすいように外側からいきますね。^^
5番目の壁:コンクリートでできた建物
(専門用語では「原子炉建屋」といいます。)
例の爆発でふっとんだ奴です。
ということで、この壁はもう無いわけですね。^^;
(1号機・3号機はね。)
4番目の壁:鋼鉄製の超巨大な容器
(専門用度では「原子炉格納容器」といいます。)
これが壊れるとかなり辛いですね。
分厚い鋼鉄製の容器で、この中は「窒素」が充填されてます。
ですので「水素」が出ても「酸素」が無いので爆発しないです。
3番目の壁:原子炉のお釜
(専門用語では「原子炉圧力容器」といいます。)
このお釜の中に燃料や水が入ってます。
ある意味、原子炉の主役ですね。
2番目の壁:燃料棒の皮
(専門用語では「燃料被覆管」といいます。)
これが今回「一部」溶けちゃったものですね。
1番目の壁:燃料棒の中のミニミニの固まり(核物質が出てこないように焼き固めて閉じこめたもの)
(専門用語ではペレットといいます。)
これも、今回「一部」溶けちゃったものですね。^^;
整理しましょう。
まず、水素爆発で一番外の建物が壊れたので、
5重の壁がなくなり、残り4重ですね。
このうち、燃料棒は一部溶けていたとのことなので、
1重、2重の壁が「一部」破られた状態です。
ここで、「一部」ってのは大事です。
全部溶けたのと、一部溶けたのは違います。
放出される放射能の量が全然変わってきます。
で、健全なのが、残りの2つ、
3重、4重の壁ですね。
3重、4重が健全。1重、2重がやや弱い健全。
これなら、まだ今のような「少し放射能が出てる・・・」
状態で済みます。
しかし、もし燃料がドロドロに溶けて、それがお釜の下に落ちて溜まって、
そして、3重の壁=お釜を突き破った場合は、話が違います。
その場合は・・・
燃料がドロドロ=1重の壁、2重の壁が完全に喪失。
お釜を突き破った=3重の壁が破られた
水素爆発も既に起きた=5重の壁が無い・・・
ということで、そうなると唯一「4重の壁」巨大な鋼鉄の容器(原子炉格納容器)だけになります。
こうなると、4重の壁が破られるのも時間の問題になり、
大量の放射能が外に出てしまう・・・
そうすると、モニタの値もどんどん上昇していくわけです。
今の最大400ミリシーベルトなんかでは済まないです。
ですから、「メルトダウン(炉心融解)」と言っても、
燃料の一部が溶けただけの今の状態と、
本当に燃料が全部ドロドロに溶けて、お釜を突き破るのは全然違うわけです。
「じゃぁ、その最悪のメルトダウンにはならないの???」
・・・そう思いますよね。
答えは、現時点で「なる可能性はかなり低い」と言えます。
なぜか?
原子力の3原則は
1.「止める」
2.「冷やす」
3,「閉じ込める」です。
このうち、
1.の「止める」は地震発生時に達成されましたね。
今回は、
2.の「冷やす」で、とどこおっているわけです。
これはどういうことか。
まず「止める」つまり、核分裂反応は止まったわけです。←これ、一番大事。
(ちなみに、チェルノブイリは「止める」ができず、暴走して爆発しました。
さらにちなみに、チェルノブイリは、日本の原子炉とは全然違う、水を使わない原子炉です。
水の代わりに黒鉛を使います。黒鉛は制御が大変ですが建設費は安いんです。汗)
次の「冷やす」
これは、核分裂反応は止まったけど、まだめっちゃ熱い状態だから、
「余熱」があるんだよねー。って状態です。
普通は、この余熱を取り去るのに、
水がたっぷりあって、それで冷やせばおしまい。
だったのですが、
今回、その水が足りなかった。
なので、余熱が取れずに、燃料が「一部」溶けたってことです。
でも、「余熱」なので、基本的には時間とともに、熱は下がってきます。
曲がりなりにも、これまでずっと水を入れてますので。
時間の経過を考えても、もう止めてから丸4日間・・・経っています。
1号機、3号機は、今も水で満たしているということなので、
余熱がとれてどんどん、安全な方向に向かっているでしょう
2号機も基本的には同じです。
ただ余熱を取る水が少なかったので、冷えるスピードが遅いわけです。
このだんだん冷やされている状態から、
燃料がドロドロに溶けて、お釜を破るようなメルトダウンが起きるかと言うと、
可能性は低いと言えるでしょう。
なぜなら、水かけて、時間も経過して、冷える方向に向かってるのに、
それに逆行する話ですからね。
いずれにせよ、
今のように、海水入れながら冷やしていれば最悪のメルトダウンは起きません。
しかし、また水が「ずっと」入らなくなれば、
「冷やす」ができなくなり危険な方向に向かうでしょう。
・・・ということで、
結局、私達が一番注意して見ておくべきは、
先のトピックで書いた「モニタの値」です。
万一、最悪のメルトダウンの方向に向かえば、
必ず、モニタの値が上昇していきます。
ミリシーベルトの値がどんどん上昇していきます。
そうならずに、マイクロシーベルトで安定しているうちは、大丈夫です。
やはり、冷静にモニタの数値を見るのが大事ですね。
結局・・・結論は一緒です。
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メルトダウン。むやみに恐れず、冷静に事態を見守りたいと思います。